「ふしぎな少年」(1961年手塚治虫)と「不思議な少年」(2001年~山下和美)、タイトルは似ていても内容は全然違う漫画です。
前者は時間を止める力を手に入れた少年の冒険物語で、後者は謎の美少年の、時代・地域を超えての人間ウォッチ物語という感じの話です。
どちらも少年が主人公の漫画ですが、それぞれ味わいがあります。
1961年というと昭和36年にゃ
2つの漫画の概要
2つの漫画について概要を表にしてみました。
「ふしぎな少年」 | 「不思議な少年」 | |
発表年 | 1961年~1962年 | 200年~2020年(?) |
作者 | 手塚治虫 | 山下和美 |
主人公の少年 | 大西三郎(サブタン)13才 普通のわんぱく少年 | 名前は固定してない 金髪碧眼の美少年 |
少年の不思議 | 時間を止める力 | 時代、地域問わず 神出鬼没 年齢も子どもから大人 はては性別も変えられる 不思議な力いろいろ |
性格 | おおらかで人懐こい 正義感があり心優しい | 基本的に傍観者だが 積極的に関わる時もある |
ストーリー | あることがきっかけで 時間を止める力を持った サブタン。 事件に巻き込まれた時などに 時間を止める力を使って 解決する話。 | いろいろな世界で 人間と関わる 不思議な力をもった 少年の話。 だいたい1話完結。 |
1961年代の日本 キョジンタイホータマゴヤキ?
手塚治虫さんの「ふしぎな少年」の発表年の
1961年は、昭和36年です。
前の記事の「ひまわりさん」から6年後です。
日本は高度成長期真っ最中という感じで
坂本九さんの「上を向いて歩こう」が
流行った時代です。
巨人・大鵬・玉子焼きという言葉が
(きょじん・たいほう・たまごやき)
流行ったそうです。
巨人は読売巨人軍
大鵬は大相撲の横綱・大鵬
玉子焼きは普通に玉子焼き
みんなが大好きものの代名詞
といった感じらしいです。
手塚治虫さんの「ふしぎな少年」の魅力
サブタンこと大西三郎は
近所のわんぱく仲間と遊ぶ
普通の男の子だった。
ある日、罰ゲームで
工事中の地下道を通り抜けることを
させられる。
それがきっかけで
サブタンには時間を止める力を身に着ける。
サブタンはこの力を使って
事故現場の時間を止めて
そこにいる人を助けたりします。
事件に巻き込まれたりしますが
その力を使って無事に終わります。
雰囲気としては昔の子ども向けドラマ
という感じで、家族や友達がたくさんいて
全体的にあったかい感じの冒険話です。
すごい冒険譚が好きな人には
ちょっとアットホーム色が多いので
物足りなさを感じるかもしれません。
山下和美さんの「不思議な少年」の魅力
山下和美さんの不思議な少年は、マーク・トウェインの同名の小説から着想を得たそうです。
マーク・トウェインの小説に出てくるシーンみたいなところが一部あります。
山下和美さんの「不思議な少年」は
とにかく少年が美しい!
ショタコン受けしそうです。
いろいろな時代、地域に表れて
時には家族になりすまして
人間と関わっています。
人間にガッカリしたり
人間を好きになったりする
少年は永遠の時を生きています。
たまに天使の恰好で登場する
こともあります。
その天使の恰好の美しさ。
これはクセになります。
書籍情報
手塚治虫さんの「ふしぎな少年は」は手塚治虫文庫全集で出ています。
山下和美さんの「不思議な少年」は、モーニングコミックス で9巻まででています。
マーク・トウェインの「不思議な少年」は岩波文庫で出ています。
おまけ:マーク・トウェインの「不思議な少年」
山下和美さんが着想を得たという
マーク・トウェインの「不思議な少年」は
外国文学によくある感じで子供のセリフながらも
なんだか大人のセリフのような感じで書かれていて
読み慣れていないと違和感がありそうです。
ここに出てくる不思議な少年は
サタンと名のります。
サタンは叔父だと言っているので
名前は一緒だけど、つまりサタンの甥。
物語の舞台は1590年のオーストリア。
中世の魔女狩りの時代です。
サタンは美少年の姿で主人公のテオドールたち少年の
前に表れて面白い話でみんなを魅了します。
みんなサタンを大好きになって
もっとサタンと話していたくなります。
魔女狩りの怖い話や
人間の醜さをサタンはたっぷりと
語りますが、それでもなんだか
そんなに怖く感じなかったのです。
個人の感想です。
マーク・トウェインというと、
トム・ソーヤの冒険など、
楽しい話を思い出しますが
この話は晩年に書かれたらしいです。
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